最近の家族葬や直葬が増加傾向にあるとニュース記事などでちらほら見かけます。
しかし、葬儀関連のニュースは誇張やデマがとても多いと言われています。
なぜなら
- ソースやファクトが不明確
- 長年葬儀に関わっている人間が実際に遭遇したことがない
元々「火葬場が2割増しに忙しい」っていう久住医師みたいなデマを止めるために、火葬場で確認してそんな事実は無いっていったのに、アチラ界隈は「たとえ死者数が1万人増えても、全国では火葬場あたり7人程度だから分からないハズ・・」って言いだした。だから2割増し増えたみたいなのがデマなんだよ。 pic.twitter.com/Laja70otpM
— 佐藤信顕@葬儀葬式ch (@satonobuaki) April 18, 2020
といったようにデマと言われる情報が拡散されがちです。
では、実際に葬儀を取り巻く環境はどんな状況なのかアンケート調査などをベースに解説していきます。
- 単身高齢者世帯の増加によるひとり死の増加?
- 葬儀の小規模化の原因は少子高齢化?不景気?
- これからの葬儀に求められるもの
といった内容について近年の葬儀の現状と葬儀のこれからについて解説します。
高齢者の単身世帯は増加しているのか
未既婚の調査
今後日本では少子高齢化が更に進み、2025年には高齢者が人口を占める割合は3人に1人になると言われています。
そこで、内閣府による60歳以上の高齢者を対象としたアンケート調査(平成28年 高齢者の経済・生活環境に関する調査結果)について解説します。
75歳以上の女性高齢者については、ほぼ半数の人が死別により夫がいないという現状です。やはり女性の方が長生きするというのがこのグラフからもわかりますね。
ちなみに男性の平均寿命は81.25歳、女性の平均寿命は87.32歳(2018年)
人生100年時代と言われる現代において、女性の半数は最期の10〜20年をひとりで生きていかなければなりません。
- 7割の方は配偶者がいる
- 3割弱の方は未婚や死別により配偶者がいない
- 75歳以上の高齢女性の半数は夫が亡くなっている
同居者の調査
同居者の調査によると8割強の高齢者には同居者がおり、配偶者または子供と一緒に暮らしている世帯も多くあるという結果になりました。
平成28年の調査ですが、この調査結果の限りではまだ高齢者の単身世帯の数が極端に多いとは言えないかもしれません。
しかし、国立社会保障・人口問題研究所の「日本の世帯数の将来推移」によると、2040年に65歳以上の高齢者のうち10人に4人は単身世帯になるという調査結果もあります。
今後、少子高齢化によって高齢者の単身世帯が増加していく事は間違いなでしょう。
住宅の種類の調査
8割強の高齢者は一戸建ての持家に暮らしています。
逆に、高齢者向け住宅や施設へ入居している人は、0.1%とかなり少ないです。これは経済的な理由が大きく関わっているかもしれません。
高齢者の居住環境について言える事は
- 配偶者がいない高齢者は全体で3割
- 女性は75歳を超えると単身になる可能性が増える
- 8割強の高齢者は持家で同居者がいる
- 高齢者施設に入居している人はかなり少ない
と言うことです。
アンケート調査を見ると75歳以上の女性が最もひとりで死を迎える可能性が高いと言う事になります。
しかし、わたしの経験だと女性が自宅でひとりで死を迎えるケースは少ないです。
なぜかと言うと、女性は男性よりコミュ力が高いと言われているからではないでしょうか。
女性はラポール(共感)トーク、つまり、社会的所属と感情的つながりを重視するコミュニケーションスタイル、一方の男性はレポート(報告)トーク、つまり、感情を交えることなく、情報を交換することに主眼が置かれている
デボラ・タネン著「わかりあえない理由(ワケ)」
女性は日頃から家族やコミュニティと密接に繋がっている為、誰かが体調の変化に気付き、早期に病院や施設で対処する事ができると言うことかもしれません。
このまま少子高齢化が進めば、高齢者の単身世帯は増え続け、それに伴いひとり死が増える可能性も多いにあります。
家族のコミュニケーションやコミュニティとの関わりは、ひとり死と大きく関わっているのかもしれません。
家族に迷惑をかけたくない
自分の死を意識した時、やはり家族に迷惑はかけたくないと思う人は多いようです。
自分の葬儀について、直葬で良いと言う人は57.9%に対して、家族の葬儀について直葬で良いと言う人は35%と言う調査結果もあります。
つまり、死ぬ側と送る側で葬儀に対する考えは異なると言うことです。
いくら本人が直葬を望んだとしても、遺された家族は故人のことを弔ってあげたいという気持ちが強いということです。
鎌倉新書ではこんなアンケート結果も出ています。
2017年葬儀調査
- 一般葬 52.8%
- 家族葬 37.9%
- 一日葬 4.4%
- 直葬・火葬式 4.9%
2017年時点で直葬・火葬が葬儀全体の占める割合はたった5%しかありません。それ以外の人は何かしらの葬儀を行ったと言うことです。
やはり、まだ世間的に葬儀の必要性は十分にあると言えるでしょう。
葬儀は家族にとって負担なのか
葬儀は極限の精神状態(大切な家族を失う)で、2〜3日後には葬儀が行えるように準備を進めなければなりません。つまり、それだけで遺族の負担は大きいと言えるでしょう。
その負担を少しでも減らしておくには、生前からの事前準備がとても大切です。
葬儀の負担軽減の為にできること
- 葬儀の意思を伝えておく(直葬、告別、通夜)
- 葬儀社を決めておく(見積もりをもらう)
- 遺骨の処理について確認しておく(菩提寺、散骨など)
たったこれだけのことが決まっているだけでも、遺族は安心して葬儀を迎える事ができると思います。
ネットの葬儀サービスも手軽で便利ではありますが、安心して葬儀を迎えるには事前に安心して任せられる葬儀屋さんがあるといいかもしれません。
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遺品の整理は大変
正直、遺品の整理はが一番大変です。これは生前のうちに出来る限りの身辺整理をしておく事をオススメします。
物を分ける時は3つのカテゴリーに分けましょう。
- 不要なゴミ
- リサイクル物
- 遺産になりそうな物
家一軒分を丸々引っ越すわけでもなく、ただ処分するのはとても素人だけでは無理です。遺品整理業者を利用することをオススメします。
これも生前のうちにやっておく事で捨てていい物や遺す物がある程度明確になるので、利用する場合は生前に利用する方がいいです。
もしかしたら、家の中にお宝が眠っている可能性も…
遺骨の行方はどこ?
少し前にこんなニュースが話題になりました。
この人の動機はイマイチよくわかりませんが、この先景気の後退によって、経済状況が悪化し遺骨の処理に困るという人が増える可能性はあると思います。
神奈川県横須賀市では終活に積極的な姿勢で、様々な終活サービスを取り扱っています。
横須賀市「エンディングプラン・サポート事業」
神奈川県横須賀市では、2015年市民の終活をサポートする事業を開始しました。
とあるインタビュー記事で、横須賀市役所職員の方がきっかけは無縁納骨堂とある単身者の死が事業を後押ししたと述べています。
インタビュー記事はコチラ
考えられる要因として以下事があげられます。
- 横須賀市には1万人を超えるひとり暮らしの高齢者がいる
- ひとり暮らし増加傾向にある
- 身元不明の遺骨も年間50体にのぼる
生活にゆとりがないご高齢等の市民の方の葬儀・納骨・リビングウィルという課題について、あらかじめ解決を図り、生き生きとした人生を送っていただくことを目指した事業を実施しています。
引用:横須賀市ホームページ
2020年4月時点でエンディングプラン・サポートの該当者は以下のようになっています。
- 横須賀市民の高齢者
- 一人暮らしで身寄りがいない
- 月収18万円以下
- 貯金額225万円以下程度
- 評価額500万円以下の不動産しか持ってない
このような生活にゆとりのない高齢者に対して、横須賀市では以下のサポートを行っています。
エンディング・プランサポートの内容概要
- 葬儀業者の情報提供
- 死亡届提出人確保の提案
- 葬儀・納骨プランの企画提案
- 書面の保管
- 登録カードの発行
- 安否確認訪問
- 指定機関、業者、知人などへ連絡
これらのサポートを協力葬儀業者とともに解決していくのが「エンディングプラン・サポート事業」という事です。
詳しくはコチラのボタンからどうぞ↓
わたしの終活登録
また、2018年5月横須賀市は新たに「わたしの終活登録」を開始しました。
なぜ、このようなサービスが始まったのか
- 終活ノートが見つからない
- お墓がわからない
というケースがあり、亡くなってしまってからでは確認をとる事は、非常に困難だと考えられます。このような手間をスムーズに行う為「わたしの終活登録」のサービスは始まったのではないでしょうか。
登録できる人は、希望する横須賀市民は誰でも登録可という事です。
※本人の意思が伝えられな場合でも、本人の意思が明瞭であれば、後見人、親族、友人が代理で登録する事ができます。
登録できる内容
- 本人の氏名、本籍、住所、生年月日
- 緊急連絡先
- 支援事業所や終活サークルなどの地域コミュニティー
- かかりつけ医師やアレルギー等
- リビングウィルの保管場所・預け先
- エンディングノートの保管場所・預け先
- 臓器提供意思
- 葬儀や遺品整理の生前契約先
- 遺言書の保管場所と、その場所を開示する対象者の指定
- お墓の所在地
- 本人の自由登録事項
登録者のありとあらゆる情報を登録しておく事ができます。こういうサービスを各自治体がスタンダードでやってくれればいいなと思います。そうすれば終活なんかする必要なくなりますからね。
登録した情報の開示には条件があります。大きく分けて2パターンです。
- 生前開示
- 死後開示
生前開示は登録者本人が、記憶障害や認知症になった際、指定した人に登録項目の「9.遺言書の保管場所と、その場所を開示する対象者の指定」「10.お墓の所在地」を除く情報を開示します。
死後開示は、「9.遺言書の保管場所と、その場所を開示する対象者の指定」を指定した人のみに開示し、「10.お墓の所在地」を納骨と墓参りへの参加希望者(第三者)に開示します。
これからの葬儀に求められるモノ
これからの時代、提供する物理的なモノの価値(高価な棺、生花祭壇など)は無に等しいと思います。より目に見えないモノに価値が付く時代だとわたしは感じています。
その正解が何なのかはわかりませんが、より人の人生の近くで最期をサポートしていけるのはITではなく現場で働く葬儀屋さんだと私は思います。
時代の変化と共に変わってきた葬儀のカタチが、この時代の変化でまた良いモノになっていくことを願っています。