こんにちは!決算もだいたい出尽くしてきましたが、先行き不透明感が強いですが、株価は下がらないのは不思議なものです。
日銀の金融対策恐るべし
先日、考える葬儀屋さんこと赤城氏がこんな投稿をしていました。
これから多死社会の到来で売上↑↑↑と一部の方には思われている様ですが、赤城氏は以前から葬儀業界は衰退産業と言っているように、まさにその通りになりつつあります。
長年業界に携わり、情報発信してきた方から「悔恨と懺悔」という言葉が出てくるほどに業界の状況は厳しい事が伺えます。
という感じの衰退産業界ですが、数少ない上場企業である株式会社ティアの決算発表がありましたので中身をざっくり確認してみたいと思います。
株式会社ティアとは?
まず、株式会社ティアがどのような会社なのか概要を確認していきます。創業者は現代表取締役社長である冨安徳久氏であります。数多くの著書も出しており葬儀業界でもかなりの存在感を醸し出しています。
会社概要
- 本社所在地:〒462-0841愛知県名古屋市北区黒川本通三丁目35番地1
- 代表取締役社長:冨安徳久
- 資本金:18億73百万円(2020年3月現在)
- 社員数:526人(2020年3月現在)
資本金18億円、従業員数が500名以上とうちの会社とはケタ違いでございます!
業務内容
互助会系ではなく純粋な葬儀社です。売り上げのほとんども葬儀業が占めており、フランチャイズの割合はまだ少ないといった印象です。
地域性が強く出る葬儀においてフランチャイズ化は難しそうですね。
「ティアの会」という会員サービスを行っており、今月末(令和2年8月31日)までキャンペーンをやっていますので、気になる方はチェックしてみてはいかがでしょうか。
沿革(ざっくり)
- 1997年7月 株式会社ティア設立
- 1998年1月 第1号店をオープン
- 2004年10月 葬祭フランチャイズ事業を開始
- 2006年6月 名古屋証券取引所セントレックス上場
- 2013年6月 東証2部上場
- 2014年6月 東証1部、名証1部指定
- 2015年9月 年間売上高100億円達成
- 2018年8月 第100号店目をオープン
- 2019年4月 人財育成専用施設を解説
1997年創業からわずか9年ほどで上場。そして今や東証1部銘柄となっています。店舗数も順調に増えて2018年には100号店をオープンし、次の目標200店舗を目指しているという事です。
経営方針
「日本で一番『ありがとう』と言われる葬儀社」を生涯スローガンとしています。
著書のタイトルにも「ありがとう」という言葉が使われているように冨安氏にとって「ありがとう」という言葉には特別な意味がこもっていることが感じとれます。
著書でも葬儀屋さんはお金を貰ってありがとうといっていただける仕事というようにお客様から「ありがとう」と言っていただける機会は他の職種より多い気がします。
また、料金設定も明瞭かつ適性価格を追求しているようで、HPの葬儀プラン料金も細かく刻んであります。基本的には祭壇と生花のサイズ=価格って感じですかね。
最安プランは直葬で18万円(会員価格)となっています。
戦略基本方針
以下3つを基本方針として掲げています。
コンビニエンスストアだとゼブンイレブンの出店戦略はまさにこの「ドミナント出店」でしょう。
冨安徳久とは
略歴
- 1960年7月:愛知県に生まれる
- 1979年6月:西日本セレモニー山口典礼 山口店入社
- 1982年9月:株式会社出雲殿入社
- 1994年3月:有限会社名古屋丸八互助会入社
- 1997年7月:ティア設立 代表取締役社長
18歳の時に葬儀のアルバイトに感動して、葬儀業界を志し、1979年に西日本セレモニー山口典礼に入社。そこから数社の葬儀社で経験を積み重ねるも会社の方針に納得いかず、独立する事を決意し1997年にティアを設立します。
書籍
- 日本でいちばん「ありがとう」といわれる葬儀社:名古屋発・ティア成功の秘密(2005)
- ぼくが葬儀屋さんになった理由(わけ)(2008)
- さよならのブーケ 人生の最期にしてあげたい11の物語(2012)
など
もし葬儀業界を目指したい人は一度読んでみることをオススメします。
人財こそが付加価値
ティアでは人材の事を人の財(たから)と置き換え人財と表現し、「人財こそが最大の付加価値」という様に人材育成に力を入れている様子も伺えます。
葬儀サービスにおいてホスピタリティが重要な訳で、顧客を満足させるのは人、リピーターを生み出すのも人という感じで人材教育というものにかなり力を入れている様子が伺えます。
2019年4月に専用の研修センター「ティア・ヒューマンリソース・センターTHRC」をオープンし、教育環境を整えることで質の高いサービスの提供を目指している模様です。
業績について
さて、ここからが本題の業績になりますが、結論、かなり悪いと思われます。利益については当初予定の半分ぐらいに下方修正していますので今後もかなり厳しい状況が続く見込みとなっています。
中長期経営計画(当初予想と実績)
単位百万円 | 2019年9月期連結 | 2020年9月期連結(当初予想) | 2020年9月期連結(最新予想) | 2021年9月期計画 | 2022年9月期計画 |
---|---|---|---|---|---|
葬儀件数(件) | 10,923 | 11,968 | – | 12,972 | 13,920 |
売上高 | 12,779 | 13,695 | 12,075 | 14,570 | 15,350 |
営業利益 | 1,156 | 1,220 | 660 | 1,345 | 1,405 |
経常利益 | 1,151 | 1,215 | 650 | 1,345 | 1,410 |
当期純利益 | 791 | 815 | 390 | 905 | 950 |
引用:株式会社ティア2020年9月期第3四半期報告書
葬儀件数については、第3四半期時点8,460件と前年度同時期の1.5%増なので、葬儀の件数自体が激減している訳ではなく、コロナによる参列者の減少や葬儀規模の縮小によって利益率が下がったものかと思われます。
第3四半期報告について
前年度の同時期に比べても明らかな収益性の悪化が伺えます。
つまり葬儀社は小規模な葬儀を施行するだけでは利益が出ないということです。葬儀は規模の大小にかかわらず、ほぼ一定の経費(人件費、物品など)がかかるため、葬儀施行だけで利益を確保することは難しいのです。
葬儀社の利益において料理、引き物、生花は結構大き割合を占めているので、参列者が減ってしまう事は葬儀ビジネスにおいて致命的とも言えるかもしれません。
祖父いわく花輪が一番儲かったらしいです。
経営方針・戦略の変更はなし
今回の決算発表による大きな経営方針の変更等はない模様です。しかし、今後この様な状況が続けば経営戦略の変更を余儀なくされかねません。
というよりはどうするか、、、という状況なのかとも思います。
これ以上単価は下げられない、葬儀に人もこないという状況なわけで別の何かを探さないといけませんかね。リモート葬の到来かもしれません。
まとめ:今後に注目!
とまあ厳しい衰退産業ではありますが、時代とともに変化してきた葬儀文化ですので、今後更なる簡素化や小規模化の波が押し寄せては返すのかもしれません。
世間では葬儀屋さんのイメージも良いのか悪いのかよくわかりませんが、私個人としてはこの仕事を悪い仕事と思ったことはないので、これから葬儀業界を志す方が少しでも働きがいを感じれる仕事であり続けて欲しいと思います。
しかし不安だ、、、