葬儀での感染症の扱いについて

musk-gloves お葬式のこと

こんにちはずう(@OsohshikiBlog)です。

新型コロナウイルスでも葬儀はできるの?

そんな人のために、感染症による葬儀への影響どうなるのか解説します。

葬儀と感染症の関係

まず、遺体を扱う上で最も注意しなければならないのは感染症です。感染症で亡くなった場合、死後も遺体から感染のリスクがあるため葬儀屋、火葬場の人は感染防止対策を十分に行わなければなりません。

しかし、感染症が直接の死因でない場合、遺体が感染しているかどうかわからないのも事実です。

なので、遺体は基本的に感染症のリスクがあるという前提での扱いになります。

感染症は、感染症法によって分類され、危険度によって扱いが異なります。

感染症法とは?

「感染症の予防」と「医療の措置」について定めた法律

正式名称は「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律」です。略して感染症法。

なぜ感染症法ができたのか

人類の歴史は感染症との戦いの歴史でもあります。かつて、感染症が原因でひとつ国が滅びかけた過去もあります。そんな人類の脅威に立ち向かうため、日本では感染症法が制定されました。

  • 感染症が人類に与える影響は大きい
  • 医療は大幅に進歩したが、今なお新たな感染症の脅威はある
  • 国際交流の進展により、感染拡大の可能性も広がった
  • 感染患者の人権を尊重し、適切な医療措置や迅速な対応が必要

という事です。

感染症を根絶することは、正に人類の悲願と言えるものである。

感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律

全世界で猛威をふるった感染症

過去に全世界で猛威をふるった感染症を紹介します。

ペスト(黒死病)

近年でも感染が確認されています。未治療の場合、致死率が30%〜60%と非常に高く、第一類感染症に部類され非常に危険な感染症である

時代概要
14世紀当時の世界人口4億5千万人中1億人が死亡したといわれている
1348〜1420年イングランド、イタリアの人口の8割が死亡するという惨劇を起こした
2004〜2015年世界で56734名が感染し、4651名が死亡している

天然痘

人類が根絶した唯一の感染症です。しかし、人類史上最も大きな被害をもたらした感染症でもあり、致死率が非常に高い(致死率20%〜50%)、その致死率の高さから根絶宣言後も生物兵器としての危険性が危惧されています。

時代概要
165年〜ローマ帝国で15年間にわたり流行し、少なくとも350万人が死亡した
15〜16世紀スペイン人の侵略によって滅亡したアステカ、インカ帝国の滅亡の原因の一つとされ、アステカの人口は滅亡前の1100万人から100万人まで激減したといわれています。
明治時代日本で2〜7万人が感染(死者5千〜2万人)を6回ほど繰り返す。
1980年5月8日WHO(世界保険機構)は地球上からの天然痘根絶宣言を発する。

感染症は時に命だけでなく、人類の文明を滅しかねない…

感染症法の歴史

感染症法の歴史
  • 1998年 ・・・・・伝染病予防法、性病予防法、エイズ予防法、が統合
  • 1999年4月 ・・・・・感染症法の施行
  • 2003年11月 改正・・・・・感染症法の改正
  • 2007年4月 改正・・・・・結核予防法を統合
  • 2008年5月 改正・・・・・分類に新型インフルエンザ等感染症が追加。

感染症法は、SARS(2002)や鳥インフルエンザ(2005)などの感染症の発生の度、改正されています。

ちなみに、SARSの感染者は日本国内では確認されていません

人が文明を築く上で感染症対策は文明の存続に関わる非常に重要な事だという事です。

正しい知識を持って、感染症の予防に努めましょう。

国民は、感染症に関する正しい知識を持ち、その予防に必要な注意を払うよう努めるとともに、感染症の患者等の人権が損なわれることがないようにしなければならない。

感染症法 第四条(国民の責務)

感染症の分類

危険性が高い順に一類から五類に分類されています。

分類(根拠法令)一部の感染症の名称
一類感染症(感染症法6条2項)エボラ出血熱天然痘ペストなど
二類感染症(感染症法6条3項)結核SARSMARS鳥インフルエンザなど
三類感染症(感染症法6条4項)コレラ細菌性赤痢パラチフスなど
四類感染症(感染症法6条5項)A型肝炎狂犬病日本脳炎マラリアなど
五類感染症(感染症法6条6項)麻しんエイズ梅毒など

※リンクは厚生労働省のページにとびます。

新型インフルエンザは一類〜五類感染症と異なる対応が必要な為、分類に「新型インフルエンザ等感染症」が設けられた。

その他に、指定感染症、新感染症の分類がある。

異なる対応とは、二類感染症に該当するインフルエンザ(H5N1)は、政令によって「入院措置」「就業規制」「消毒」「検疫で検査」などが可能(H20/6/11まで)ですが、新型インフルエンザ等感染症だと入院措置や検疫の他に「隔離・停留」「建物封鎖」「感染したおそれのある人へ感染防止要請」が可能になります。

今後も感染症の流行とともに改正されていくと考えられます。

新型コロナウイルス(COVID-19)の扱いは?

2020年2月1日からの1年間は指定感染症(二類感染症相当扱い)の扱いになります。

指定感染症の措置

指定感染症に該当した場合の対応について解説します。

  1. 強制隔離措置が可能
  2. 入院費は公費負担
  3. 医療機関は届出の義務がある

指定感染症患者は基本的に強制隔離されます。しかし、その費用は国で負担してくれます。

医療機関は該当の感染症患者を確認したら都道府県へ届出を行わなければなりません。

新型コロナウイルス感染症の主な特徴

新型コロナウイルスの特徴(2020年4月時点)
  • 2019年12月中国の武漢市を中心に発生
  • 潜伏期間は2〜10日間
  • 発熱・咳・倦怠感の症状
  • 一部、呼吸困難などの症状も呈する
  • 高齢者や基礎疾患者は重症化のリスクがある
  • ※注意:感染拡大と共に若者が重症化するケースも見られてきている
  • 無症状の場合もある

詳しくはこちら>

新型コロナウイルスの感染状況

国内の新型コロナウイルスの感染状況については、東洋経済オンラインで「新型コロナウイルス 国内感染の状況」グラフにしています。とても見やすくなってますので、参考にどうぞ。

2020年3月11日にWHO(世界保健機関)のテドロス事務局長が新型コロナウイルスの「パンデミックとみなせる」と表明しました。

この新型コロナウイルスの大流行により、東京オリンピックはオリンピック史上初の延期措置となりました。ちなみに、オリンピックの中止は過去に5回あります。

以下、国別の感染者の推移のグラフです。

少し前のグラフになりますが、欧州では感染者が上がり始めた途端に急増してうなぎ上り状態になっています。

この時点では日本、シンガポールで感染者の急増はしていませんが、4月を過ぎて日本でも徐々に感染者数が増えてきています

欧州では、爆発的患者急増(オーバーシュート)により3月上旬からイタリア、スペイン、フランスではロックダウンの状態が今も続いています。(2020年4月時点)

4月7日夕方、日本でも「緊急事態宣言」が発令されました。

感染症によるオリンピックの延期は史上初

原則、葬儀は禁止?

葬儀自体を直接禁止しているわけではありませんが、感染拡大防止の観点から、感染者の遺体の安置、移動の制限と集会の自粛要請が行われていますので、集会の一種である葬儀は行わない方がよいとされています。

感染者の遺体の扱い

新型インフルエンザ等対策ガイドラインの埋火葬の円滑な実施に関するガイドラインに基づいた扱いとなっています。

感染者の遺体の扱い
  • 感染者の遺体は非透過性納体袋に収容する必要がある
  • 感染者の遺体24時間以内の火葬が認められる
  • 感染拡大防止対策上支障がない場合は遺族の意向も尊重される
  • 感染拡大防止の観点から一定の制約が課せられる

基本的に感染拡大を防ぐ事が大前提になります。

なので、今回の新型コロナウイルスは人から人への感染力が非常に強いため、葬儀式や火葬の立ち合いが制限されています。

遺体の搬送及び火葬従事者の対応

感染者の遺体に関わる葬儀屋、火葬従事者は感染対策を十分に行わなければなりません。

遺体の搬送及び火葬事業者の対応
  • 都道府県は遺体の搬送及び火葬従事者へ感染防止対策を行わなければならない。
  • 遺体の搬送及び火葬従事車は手袋、ゴーグル、マスクを必ず着用しなければならない。
  • 遺族が遺体に触れる場合は手袋を着用しなければならない。

非透過性納体袋やゴーグル、手袋、マスクが準備できない葬儀業者の場合、感染者の遺体の搬送を受け付ける事ができない可能性もあります。

まとめ

全世界で流行している新型コロナウイルスによって、人類はまた大きな危機に直面しております。この危機を乗り越えるため、家族を守るためにも感染拡大防止に努め、一刻も早くこの危機が過ぎ去ることを願います。

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